リーダーの悩み

営業ド素人の私がチームを日本一に導いた組織構築5つのステップと5つの心がけ

リーダーだけが努力をしても業績は上がらない…。
でも社長から要求される毎月のノルマ。

リーダーには日々その重圧と重責がのしかかってるものでしょう。

このコラムでは、営業のド素人であった私が、任された数々の落ちこぼれ支店を
次々に日本一に導いた組織づくりの5ステップと
私が大切にしてきた5つの心がけをお伝えします。

最後までこのコラムを読んでいただければ、
あなたが部下に信頼されて業績を上げられるリーダーになるために必要な
学びが得られます。

私のマネジメントの背景にある強い信念


のマネジメントの背景には、人を孤独にさせてはならないという強い信念があります。
マザー・テレサも、「ヒトにとって一番辛い病は、孤独という病である」と言っています。

このような信念を持つに至った背景には、私のこれまでの生い立ちも関係しています。
3歳の時に両親が離婚し、極貧状態で母が洋裁仕事で深夜遅くまで働いて暮らしをたて育ててくれました。
病弱な母が入院中は、田舎の祖父母のもとに預けられ、孤独を感じながらも母から毎日のように
送られてくる手紙には必ず「こうちゃんが宝もの」と書かれ、愛されながら育ちました。
チック症でおどおどしていて勉強ができない自分。
小学5年生のときにそんな落ちこぼれで引っ込み思案な自分を大きく変えてくれる出来事がありました。
美術の先生に描いた絵を褒められ、校長室に飾ってもらったことです。
そのことがきっかけで少しづつ色んなことに前向きに取り組めるようになっていきました。
こんな自分だって変われたんだ。
「人はきっかけさえあれば必ず変われる。」と思うようになった所以です。

部下に支えられてすごい業績を出し続ける


社以来まったく営業経験のなかった私が、当時全国最年少の営業所長に大抜擢され、
その後、歴代最年少支店長に任命され、極めて業績が低迷し閉塞感に陥っていた支店を
連続日本一に導くことができた。

こう書くといかにも専門能力とマネジメント能力に長け、馬車馬のように働く戦士のような印象を持たれます。
ところが実際の私は、専門能力はからっきし、PCもろくに扱えず
マーケットを分析したり数字を読む力は極めて劣っています。

それではなぜ、任された組織を活性化させ、日本一という優れた業績をたたき出すことができたのか?

そのわけは、全営業員がひとりの落ちこぼれもなく、
会社史上初の全員標準以上の評価を獲得できたことにあります。

すなわち、一部の優秀なメンバーによってもたらされた快挙ではなく、
全員が成長し、お互いが協力しあう『チーム力で戦う体制』を構築できたことが
快挙を成し遂げたわけの全てと言っても過言ではありません。

営業ど素人の私は、「営業用語の基礎知識」という新入社員読本を渡され任地に赴きました。
その時の想いをノートにこう記しています。

「あまりあるチャンスを与えていただいた会社に対し、
ここから先はすべての私欲を捨てて恩返しの人生。ありがたい ありがたい」
「宝と思って育てるから宝になる。手塩にかけて育てた子は必ずいい子に育つ」

そんな想いを抱いて営業所に着任しましたが、営業経験がまったくないので
営業員が話している言葉も全然わからない。

自信をなくし落ち込んでいたところに、母からのお祝いの手紙が届きました。

手紙には、「おめでとうの言葉の後に、あなたを信じて働いてくださる部下の方に感謝し、自ら率先して汗をかくんよ」
と綴ってありました。
そして、「たくさん歩いても足が疲れにくい靴をみつけたので送ります」
という言葉とともに一足の靴が添えられていました。

経済的にとても苦しい中、病弱な母が深夜遅くまで洋裁仕事で一生懸命働いたお金で買ってくれた靴。
その靴を見た瞬間、涙がとめどもなくこぼれ落ちました。

現場で起きてた驚愕の事実


日からその靴を履き、営業所の片隅にとめてあった古ぼけた自転車に乗って、
一店一店お得意様回りをはじめました。

自己紹介の挨拶のあと、ろくに営業トークもできない私は、
判を押したようにひとつのことを聞いて回りました。

「せっかくお取り扱いいただいて売れ行きが悪くてお店を困らせている商品があったらお申しつけください」
と聞くと、店主はいいことを聞いてくれたと、売れてない商品を教えてくれました。

行く店行く店で何ヶ月も売れてない商品がざくざく出てきた。
なぜ売れていない商品がこんなにお店に放置してあるのか営業員に聞くと、
「だって、所長、これは会社が取り扱いを推奨している商品ですよ」
という返事が返ってきた。

どんなに会社が推奨している商品でも売れなければ全く会社の利益に貢献してないじゃないかとさらに聞くと、
営業員から「私もサラリーマンですから」と返ってきた言葉を忘れることはできません。

推奨商品の流通を確保するという施策自体が間違っているのではなく、
取り扱い目標の達成率という成績表に現場の指揮官は意識を奪われ、
そして成績表を振りかざして叱咤する指揮官に、営業員はサラリーマンとして従順に従い行動する中で、
本末転倒なことをやっているという自覚もなくなっていました。

組織が暴走するというのはこういうことかと、恐ろしい現実をみせつけられました。

こうした目的と手段の混同は、この営業所の特異なことではなく、
あらゆる組織でいつでも起こりうることであり、
現に、その後社内外の多くの組織と関わる中で、
いたるところで起きている現実を見てきました。

表面的な成果主義の名のもとに、管理職は成績表をふりかざしてやる気を出せと吼える。
吼えて業績があがるなら吼えればいい。

そんなもので業績があがるならマネジメントは誰でもできる。

こうした教訓をもとに、預かった組織を再生させ日本一に導いたレシピを紹介します。

組織総力体制の構築5つのステップ

1.メンバー全員が階差なく確実に実行することが理解できるレベルまでやるべきことを明確に共有する

司が部下にやる気を出せと吼える。部下は心の中で「自分なりにやることはやってるつもり」とつぶやく。
これではどんなに吼えても部下が上司の期待する行動に移せないのは当たり前です。

2.共有した内容がメンバー全員腑に落ちるようコミュニケーションする

達とは、いかに伝えたかではなく、いかに達したかであり、
コミュニケーションの大切な機能は、発信者と受け手の認識のずれを丁寧に確認することです。

そして達しているかどうかを判断できる最良の方法は、単に言葉のやりとりにとどまらず、
部下が具体的にどういう行動を起こしているかを『事実』でみて、
その事実に基づいた対話をすることです。

3.やろうと決めた内容が出来てるか否かをタイムリーにみる

ず、どんなにきめ細かくやるべきことを共有しても、
「物事は思い通りにいかない前提にたつ」ことが肝要です。

市場は怒涛のように変化し、競合相手はわれわれの想像できない攻勢に出てくる。
物事は思い通りにいくわけがない。

そのためには事を進める前に、いかなる手段でモニタリングするか、
「見る手段」を確立しておくことが重要です。

ただし、さらに重要なことは、どんなに精緻にモニタリング手段を構築しても、
データは単なる問診材料。

データで事態の推移がわかったような気になるならむしろモニタリングは弊害となります。

一番正確なモニタリングは、部下の正直な申告です。

組織が正直になれず、問題が隠蔽されてはいかなる戦術も機能しません。

この「組織が正直である」ことが、組織再生の最大の決め手と言っても過言ではありません。

4.できてない事実に対し叱るのではなく支援の姿勢を堅持する

DCAのCは、管理&チェックのCでなく、ケアのCと心得る。

できてないわけを真摯に受け止め、できるようにするにはいかなる支援が必要かを発想し、
具体的な支援を積み重ねることで、部下は上司を信頼するようになり、
正直なSOSがあがってくるようになります。

報連相は上司から部下になされるものと心得る。

なにか悩みがあったら相談に来いと部下に告げても、相談に来るのは優秀な部下のみ。
自信を失っている部下が自ら相談に来るのは極めて稀です。
誰しも自分の弱みを正直に開示する勇気がでないのは当たり前。「

あの取引先に挨拶にいったらまったく聞く耳をもってくれなかった。どうしたものかなぁ。お前も苦労してるんじゃないか。」

こうした上司からの本音の声に誘発されて部下も心の内を開示してくれるようになります。

「理解する=understannd」 uander(下に)stand(立つ)」

部下を理解しようと思えば、肩書きをふりかざした驕りの姿勢でなく、
謙虚に部下に接することです。
下にたって立ちすぎることはありません。

5.個々人やチーム(組織)が抱えている課題に対し真因に応じた対策をタイムリーに打つ

直に出てきた個々人の抱えている克服すべき課題を整理することで、
限られた時間で効果的なコーチングが実施できます。

自走できてる部下と、相当課題を多く抱えてる部下に同じ労力を使うという弊害も回避できます。
その際、自走できてる優秀な部下に、課題を多く抱えてる部下に対する育成の支援を依頼することで
さらに成長の速度は加速します。

業績という結果のみならず、チームへの貢献行動を評価に組み入れ、
きちんと評価に反映することで、業績優秀な部下が自分の業績のことのみならず、
チーム全体の業績を発想して行動する呼び水となります。

精神論だけでは人間の意思は長続きしない

行動してもらいたいならば、望ましい行動をきちんとみてあげて評価してあげることが大切です。

さらには個々人の課題の整理を行うことで、単に個人が抱えている固有の課題か、
部下の大半が共通して直面してるチーム全体が抱えている課題も明確に浮き彫りになります。

優秀な部下にも超えられない課題は、個別コーチングの域を超えて、
戦略スタッフも交えチーム全体で抜本的な対策を検討する必要があります。

その際、効果的な会議の有り様が問われます。

出席者に分厚い資料が配られ、立石に水のごとく説明され、
説明が終わった途端に何かご質問はと問われて、質問が出るわけがない。
ましてや、反対意見を言おうものなら、チームの足をひっぱる要注意人物がごときの反応を示されると、
誰も本音を言わなくなります。

会議は作業指示の命令を聞く場ではない

事前に議論してもらいたい議題を現場に送り、現場の声をもちよって会議に出席する。
そして、反対意見、少数意見にしっかり耳を傾ける。
むしろ反対意見を奨励するぐらいで丁度いい。

白黒勝敗をつける対立軸の議論からは創造は生まれません。

大切にしてる5つの心がけ

述した工程を進める上で大切なのはなんといっても指揮官のリーダーシップの有り様です。

私が大切にしている5つの心がけを記します。

1.部下に対する思いやり

1に、なんといっても部下に対する思いやりを堅持することです。

多くの現場を経験してきた中で、組織を活性化するには血の通ったコミュニケーションが
欠かせないことを痛感しました。

本来の使命感を喪失し、目先の業績の善しあしばかりに意識を奪われ、
成績表をふりかざして「やる気を出せ」と精神論をぶちまけても、
目の前の部下が熱を出していようが、悩みを抱えて一人苦しんでいようが気にもとめず、
無理して働かせてる状況では、部下が頑張れるわけがない。

部下に誠実に関心を持ち喜びや苦しみを共有することを忘れてはならない。

とにかく話を良く聞き、読み取り、どうすれば部下の役に立てれるか真剣に考える。

これを基に共に行動すれば、心を動かすことができます。

2.リーダー自らが身体を張って行動する

2に、使命感と情熱を持ち、自ら身体を張って行動することです。

口先だけの人間には決して人は本気ではついてこない。
ついてこないどころか人心は離れるばかりである。

リーダーが自ら率先して行動する姿勢そのものが、部下の行動を誘発します。

3.部下に対して地位・権力でなく人間としてヒトとして向き合う

3に、部下に対して地位・権力でなく、人間としてヒトとして向き合うことです。

私がマネジメントとして宣言した言葉をご紹介させていただきます。「命がけで産み育ててくれた親に感謝し、いかに生きるかを問い続け、部下に対して地位・権力でなく人間としてヒトとして向き合うことを宣言します。」その通りにいかない自省は多々ありますが、どんな人間になりたいか、自分の生き方そのものが映し鏡のようにリーダーシップの有り様に投影する。ナイチンゲールの「人にいかなることをなし得るかは、自分がいかなる人間であるかにかかっている」という言葉を忘れないようにしたい。

4.驕らず学ぶ姿勢

4に、驕らず、学ぶ姿勢をいつも堅持することです。

部下ひとり一人に丁寧に眼をむけると、みんな良さを持っています。

そうした部下の良さから謙虚に学ぶ姿勢そのものが、部下の力を引き出す最大の原動力になります。

朝一番に欠かさず毎日行動していることがあります。
それは、その日が誕生日の部下に誕生日のお祝いメッセージを送ることです。

そして一人ひとりの部下に分け隔てなく声をかけて回る。

そうして部下と接する中で見つけた部下の良いところを「褒めネタ帖」としてまめにメモして、
部下を褒めて励ますようにしています。精神的なケチにはなりたくありません。

5.使命と覚悟に裏づけされた徹底性と継続性

5に、使命と覚悟に裏づけされた徹底性と継続性を堅持することです。

私たちは何のために集い、なんのために行動するのか。

この使命という軸がしっかり堅持されていれば、
様々な応用的なチャレンジが目的と手段の混同、
本末転倒に陥ることはありません。

リーダーシップの本質は、人間らしい生き方の中にあります。

マザー・テレサがノーベル平和賞を受賞した時、新聞記者の

「私たちは世界平和のために明日から何をしたらいいですか?」

という問いかけに、

「お家に帰って家族を愛してあげてください。」

と答えました。

自分が家族を愛するように、みんな自分と同じように愛する家族と、
そしてかけがえのない人生がある。
この大切なことを決して忘れてはならない。

あなたは任された組織をどんな組織にしたいですかと聞かれたら、躊躇なく『助け合える組織』と言います。極めて業績が低迷し閉塞感に陥ってた組織が蘇り、破格の日本一をたたき出すことが出来たのは、誰一人メンバーが入れ替わったわけでもなく、優れた戦術を駆使したわけでもない。協力し合ってチームが一丸となれたこと。「助け合いの精神」が日本一の業績という褒美をもたらしてくれました。

まとめ

後に、公の志をもって日夜頑張ってくださっている皆様に本当に感謝したいです。

これはリップサービスでなく、心からそう思います。

そして、閉塞感に陥っている今こそ、皆さんの志がひとつになって助け合い、
是非愛する日本を素敵な国にしていただきたい。

日本人の一人としてささやかですが私自身もそうあるべしと行動していきたいと思います。

小さな行動から始めよう!

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